2010年10月23日土曜日

Romania: Baia Mare: 深い森の温かい秋

[ルーマニア ~バイア・マレ~]

天気はイマイチだけど見事な紅葉!
ルーマニア人にルーマニアの観光お薦めポイントを聞くと、先ずはBrasov(ブラショフ)周辺を薦められ、その後出るのが、まだ観光地化されていないけどルーマニアの国内旅行ではジワジワと人気が出てきているという、Maramures(マラムレシュ)地方。ここでは、ヨーロッパの中でも珍しく今もまだ「農民文化」と言われる、代々農民として暮らし、木の文化(ヨーロッパはほとんど建物は石だから、木造は珍しいのだ~)を大切に継いできた、北のハンガリー及びウクライナとの国境近くの地方。


早速、カウチ候補は少ないものの、ここでもカウチをゲット!
Corinaとリラックスタイム
 今回は、まだカウチサーフィンを始めたばかりで、私たちがサーファー第一号だと言うCorinaと愛嬌たっぷりの7歳の一人息子Andrewのお宅にお邪魔しまーす。
マルムレシュ地方の中心、Baia Mare(バイア・マレ)という町に到着したのは、日が暮れてから。バイア・マレから12km離れてる小さな村に住んでいるCorinaは、わざわざAndreを連れて車で迎えに来てくれた。荷物が大きいから、とってもありがたい。


とってもお洒落なでっかい家に母一人、子一人で住んでて、折りたたみベッドも快適!これからこの地方を通るカウチサーファーに人気になりそうだね、なんて話してたんだけど、残念なことに、ローンを払うのが苦しくなってきて、あと数ヶ月で家の買い手を探してバイア・マレのアパートに引っ越しちゃうんだって。

ルーマニアでは、どこでも地元の人と話せば経済の話になるんだけど、ここでも同じ。EUに入って喜んだもの束の間、ルーマニアにとってはあまり賢い選択ではなかったんだ、と。というのも、ルーマニアの産業をほかの金持ちEU諸国が買占めて利益を国外に持ち出したり、逆にEU諸国の民間企業がどんどん入ってきて、ルーマニアの産業が潰れて失業者が増えたり…。こういう所を実際に旅して回ると、一人一人が一生懸命生活するのに、資本主義の弱肉強食、金第一主義が本当にいいかどうか、というのはいっつも考えさせられる。 ルーマニア経済は悪化を辿る一方で、個人個人まで生活が苦しくなってるほど。日本でも生活は厳しくなってるけど、それとは比べ物にならないくらい、ここ東欧の人は大打撃を受けているみたい。なんといっても、西欧スタンダードが浸透し始めているのに、月給は平均200ユーロだとか。500ユーロはかなりいい方、800ユーロは信じられないくらい良い、らしい。

BudestiのSt. Nicolae
さて、バイア・マレでは、計4日間お世話になった。寝る所だけでなく、食事も毎食食べさせてもらっちゃって…。しかも、Corinaはうちらの為にわざわざ一日休暇まで取得してくれたし。優しいなあ。

あまりちゃんと予習をせずに来てしまったこの地方は、農民文化体験ができると言うことで、国内旅行の行き先としてが少しずつ人気が出てきてはいるものの、実は観光用の整備があまり進んでいず、町から町までローカルバスも満足に走っていないとか。 国内旅行で来る人は自家用車で来るので問題なし。でも私たちは、車がなーい!ので、Corinaが車で連れて行ってくれなかったら、どこにも行けなかったってこと。本当に感謝、感謝。

「どこに行きたい?」と聞かれても、うちらが持っていたマルムレシュの情報は、いろんな人からちらっと聞いただけで、農民文化、木の文化、Merry cemetary (ガイドブックによっては、happy cemetaryと書いてあることも)のことくらい。
Corinaも元々はこの辺の出身ではないらしく、私たちのリクエストを元に同僚から色々情報を集めてくれた。

私が一番感動したのは、Budesti(ブデシュトゥ)のSt.Nicolaiという木造の教会(英:Wooden church)。
バイア・マレから山をひとつ越え、国境近くの村へ。この辺は木造教会が多いんだけど、そのひとつを通過した村で発見。小雨が降る中、手作りの教会への標識を辿りながら、小さなうねうねした道を行くと、静かにたたずむ教会が。古い木造のダークなブラウングレー(日本の古い木造家屋の色)に、明るいグレーの雲に覆われた空、しとしと降る雨、芝生の鮮やかな緑、そして色とりどりの花が飾られたお墓。人っ子一人いない、静かで色のコントラストが素敵な教会。門は開いてるけど、残念ながら建物には鍵が。まあ、外から見れたらいいかぁ。…なんて諦めモードだったんだけど、なんと、通りかかった村人が親切に、道を下って一番目の家の主が教会の鍵を持っていると教えてくれ、Corinaが呼びにいってくれた。

間も無く鍵をもったおじいさん登場。わざわざ東洋人がこんな田舎まで来てくれたのがうれしかったらしく、終始笑顔で対応してくれた。さて、中に一歩入ってみて、「うわぁぁぁ~~~!」って思わず声が出ちゃったよ!まず、靴を脱いで入るんだけど、裸電球の温かい光に浮かんだのは、地元の伝統工芸の絨毯が敷き詰められ(これはイスラム教のモスクにとっても似てるかも!)、壁にははげかけた古いフレスコ画が浮かび、祭壇はこれまたきっと地元の人が作ったと思われる、色とりどりのキリスト教に関連する話の刺繍画に白い布をかけてあるものが所狭しと飾ってあり、とってもエキゾチック。今まで色んな教会を見てきたけど、こんなに素朴で、温かくて、全く他に見たことのない教会は初めて!東欧は、カトリックではなくオーソドックス派が多いから、また少し雰囲気が違って新鮮。やっぱりちょっとロシア文化のイメージに近いかな。


Wooden monastery in Bârsana
お次は、修道院。これまた木造。ここは、よく知られるこの辺の観光名所。愛想のない修道女のお姉さんからチケットを買い、入場。修道院は、日本のお寺みたいにどこも良く手入れされていて、とっても清潔感溢れている。建築物も古い木造だけどしっかりしていて、どっしりと構えていてきれい。寒いので薔薇は枯れ木だったけど、色んなところに薔薇があったので、薔薇の季節に来たらさぞかし奇麗だっただろうに…。残念!


もうひとつは、Merry cemetary。国境にある小さな村なんだけど、なんでも19世紀終わりの墓職人(?)が、暗いお墓じゃつまらん!と、墓標(?)になる十字架を平和の象徴の鮮やかな青を塗り、亡くなった人の人生の一番幸せだった時の絵を入れ、しかもその人の詩まで作って(ルーマニア語でちゃんと韻を踏んでいる)描いたのが始まりだとか。う~ん、こんなこと、小さな村じゃないとできないよなあ。
Merry cemetary in Săpânţa
その伝統を作った人はもう亡くなってるけど、その人の弟子が今でもその伝統を受け継いで続けているんだって。そのユニークなアイデアもそうだけど、結構ウケる詩がいくつかあるとかで、有名になり始めている観光スポット。遠いけど、またまたCorinaが車を飛ばして連れてってくれた。
村は、また山をひとつ越えた国境近くで、車で2時間半ほど。山道をぐねぐね、しかも雪道だから時間がかかってしまったのだ。
こんなにカラフルで愉快でほのぼのしてるお墓は初めて(そして入場料取られたのも)。ルーマニア語から翻訳できる人が一緒じゃないと面白い詩のお墓を探すのは難しいけど(何百もあるお墓のうち、笑えるくらい面白いのは数人だけ)、ルーマニア語の詩を声を出して読んで貰ったら韻を踏んでてリズム感があって、それだけでも楽しい感じ。こういう所に埋められたら、嬉しいよねぇ。死後は真っ暗って感じがしなくていい。是非、この伝統を続けていってほしいなあ。Andreは、お墓は初めてだったようでちょっとビビッてたけど。

農民文化が息づくここら辺でしか見れないという、それぞれの家にある伝統的な木のでかい門が並んでて、ちょっと日本を思い出した。装飾が施されていて、古いのは味が出ていていい。Corinaは、なんでうちらが、できたばかりのきれいな門ではなく、寂びれた古い門を撮るのか不思議がってたけど。
ラッキーな事に、Corinaのお陰で地元の人との交流もできた。ここら辺の農民は、若くてもおばあちゃんでも、頭にはスカーフ、下はレギンスにスカートをはくのが伝統的なファッションなんだけど、写真を撮りたいな~とCorinaに何気なく言ったら、わざわざ街角で車を止めて、そこにいる4人の女性に写真取らせてくださーい!とお願いしてくれた。おばあさんは、突然の事で恥ずかしがってたけど、最後には4人並んでポーズを決めてくれた。

それを見ていた愉快なおじさん達が、「おーい、俺達の写真も撮れよー!」(多分、ルーマニア語でそう言ってたんだと思う)とアピールしてきたので、ついでに撮らせてもらった。急なリクエストに応えてくれてありがとう!


Christmas feast
もう一つ、イスラエルでの農業体験がすごく楽しかったという話を聞いたCorinaは、私たちが動物好きだというのを見越したらしく、この農村で牧場を持っている人を探してくれた。 町にいるおばあさんに聞いたら、知り合いが小さな牧場を持っているから紹介してくれると、車に乗り込んで、道案内してくれた。牧場と言っても、子供が出稼ぎでフランスに出て行ったため、ほとんど動物は売り払い、今は馬、牛、豚を数頭飼うだけにしているとか。それでも、久しぶりの牧場はほのぼのして良かった。2匹の丸々と太った豚は、今年のクリスマスのご馳走にするんだとか。クリスマスをルーマニアの農村ですごせたら、色々新しい経験ができて楽しかっただろうなあ。
伝統的農家のおうちの中
オーナーのおばあさんは、農民の家の中も見ていきなさいと、家に上げてくれた。日本と同じで、靴は玄関で脱ぐ。色とりどりのカーペットが敷き詰めてあり、壁にも暖を逃さないように、タペストリーのようにカーペットがかけてある。(床のがぼろぼろになったら、壁にかけてあるやつを床に敷くらしい) 壁にはお皿がかけてあり、布がかけてある。前述の教会と雰囲気が似ていて、とっても温かい感じ。色々見せてもらって、とってもいい経験ができた。

ドライブのもう一つのハイライトは、紅葉。ブラショフに引き続き、ここでも見事な紅葉を見る事ができた。ここは、人(観光客)の少ない、一帯に広がる燃えるような赤はびっくりするぐらい美しくって感動!日がある内に写真を撮りたかったけど、急がなくちゃいけなかったため(日暮れが4時半だから)、残念ながら暗ーい写真しか撮れなかった~。まぁ、心に残しておけばいいよね。


さて、戻ってバイア・マレでは、おやつにルーマニアの伝統のパイを。普通は、Lサイズのピザ程のパイをおやつとしてペロッと食べるらしいんだけど、Corinaがアップルとチーズのパイ二つも注文して、びっくり!4人でそんなに食べられるのかなあと心配だったけど、杞憂でした。あっという間に平らげちゃった。上下のパイ生地の間に具が入っていて、それを焼き上げたもの。美味♪

今回も、ホステスのCorinaが毎食腕を振るってルーマニア料理を食べさせてくれ、お腹も心も感謝の気持ちでいっぱい満たされたー!


さあ、そろそろ寒くなってきたし、Joeの誕生日も近づいてきたから、ちょっとスピードをあげなきゃね。次は、ルーマニア最後の町、Timisoara(ティミショラ)。

2 件のコメント:

  1. ちょっと前にこの地方とこの木でできてる教会がNHKの「世界遺産」かなんかでやってて、地元の人は馬車で移動して、結婚式では町中の人が総出で用意してその教会で式をあげるところをやってたよ! テレビでも森の中で、すごくきれいなところだったよ。 うらやましい。

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  2. へぇ~。あんな田舎も日本で紹介されるんだね。本当に、びっくりする位、昔からの伝統的な生活が残っていてきれいで、人も親切で、わざわざ足を伸ばした甲斐があったよ~。いつか、akira達も是非!ルーマニアは本当におすすめ。

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