2010年4月27日火曜日

Bolivia: Sucre, Chataquila & Chaunaca: 無料ツアーは大冒険?! 2

[ボリビア ~スクレ、チャタキラ、チャウナカ~]

さて、今日はまたまた無料ツアーのお話。

Roxannaが企画した、2回目のホステルの無料ツアーは、「スペイン占領時代前のインカの道をトレッキング!」。
ということで、今回は Jalq'a民族のふるさと、 Chataquila(チャタキラ)村, Chaunaca(チャウナカ)村周辺を訪れることになりました~。Sucreから、トレッキング開始ポイントまで2時間。
トレッキング自体も全部で3時間ぐらいという短い、楽なツアーになるはずだったのだが…。


今回は、出発前から既に「…ん?」と思わせる事が何点かあった。

 ① ガイドが、若い英語を話さない(スペイン語だけ)、Juan Pablo(フアンパブロ)

私達は、Pabloとは顔を合わせる度に話したり、コカの葉の体験をさせてもらったり、サッカーの試合に連れて行って貰ったりと、普段から仲良くしてたので、英語を話さない事に不満はあまりなかったんだけど、この子は若くてちょっとおっちょこちょいな所があるので、この長い旅のガイドをいきなりやって大丈夫なのか…という不安はあった。

② ツアーの説明がちょっとテキトーすぎ?

一日前に、たまたまその場に適当に居合わせた参加者に、簡単に何を見れるかの説明し、「明日、8時出発ね。水と一応食べ物だけ持参して」とスペイン語でサラサラサラ~っと言われただけ。
これが後でちょっと問題に。

③ タクシー 乗りすぎ

出発当日朝。8時に準備を済ませ、タクシーが来たと言われたので乗りに行くと…。ウイングロードみたいなやつ一台しかないじゃん!!
その日の参加者は、うちら夫婦、そしてうちらより体の大きいイギリス人の4人。プラス 運転手。プラス ガイドのPablo。計8名。
どうやって乗るんじゃい!って思ってたら、サッと後方のドアを開けてくれました。そういうことか…。
という事で、運転手さんと体が一番大きい他の客が一番前、後部座席に残り3人のイギリス人の客、そして体の比較的小さいうちら夫婦とガイドのPabloの3人が本来座席ではない荷物積むところに座り、明らかに重量オーバーのタクシーが出発をしたのだった。

Sucreを出るともう道は舗装されていない。一番後ろにきゅうきゅうに詰め込まれてるうちら3人(2人ならまだスペースがあってわかるんだけどなぁ)は、ガタガタ道でお尻がいた~い!まぁ、これも冒険か?! 
でも、外のすっばらしい風景を見てるとそんなこともどうでもよくなってきた。
カラフルな層が重なり合って、本当に「神様が絵を書いたような」とよくここら辺の地域が形容されているように、乾燥して土ぼこりの舞う中に広がる神秘的な光景にため息がでるばかり。

そして2時間も行くと、古い教会が。ここは、スペイン人に対抗し革命を起こしたけど最終的に殺されてしまった原住民の英雄を祭る教会で、今でも年に一回は人が集まり、お祭りをするらしい。
Pablo、よく知ってるな。さすが、ツアリズムを勉強しただけある!見直したよ!

また暫く車に乗って行くこと1時間(今回はイギリス人の人たちが交代してくれたので、心地良い座席に座れた)、急に運転手さんが「道路の状況が悪いからもう行けない。どうしても行くならもっとお金出してもらわないと。」と。
うむぅ。
確かに、それまで舗装されていない道路を、大の大人を8人も乗せ、山を登り、谷を下り、水の中をザブザブと進み、さすがにこの古い二駆は頑張っていた。でも標高3000mに近い所でそんなことをしていたため、既にブレーキがおかしくなってきていたらしい。

仕方ないので、Pabloは取敢えず川まで引き返すように指示。そして、何故かその川から上の教会まで歩くという、全然ツアーには含まれていない、地獄のトレッキングが始まるのだった…。

川で下ろされ、どうやって渡ろうか迷ってたら、結局浅いところを見つけて裸足で渡るしかなかった。水はあんまり綺麗ではなかったから、きっと生活用水が流れてるんだろうな~とか思ったけど、他に選択肢はないので仕方ない。でもギラギラと照りつける太陽にうんざりしてたので、氷のようにつめたい水は気持ちよかった。

さて、そこからが地獄。
イギリス人の子達は、昨日の説明をあまり聞いていなかったらしく、ほとんど水も持ってきていず、しかも食べ物に至っては一切持参していなかった。1時間もほとんど車も通らない道を、オゾン層に守られていない直接日光の下、乾燥地帯を歩いていると、水も尽きてしまった。
運よく、一つだけ道端に家があり、そこで2Lのミネラルウォーターを6ボリビアーノで売ってくれた。
ここで、Pablo曰く 「他に必要なものある?ここから一時間位歩くけど、もう物を買える場所はないよ」と。 まあ一時間なら、それぞれ水一本あれば大丈夫だろうと歩き出した。

しかし、ずっと続くなだらかなのぼり道を歩けど歩けど、全くゴールが見えてこない。
結局、山越えをするんだということが、ぼんやりとわかってきた。
水は、すぐぬるくなり、チョコレートはチョコレートソースと化し、私の脳みそもドロドロ…。
景色は、他に見たことも無いくらいすばらしかったのに、2時間も歩くとそんなことどうでもよくなってきて、「後どれくらいなんだろう。。。」とばかり考えていた。
他の皆は私よりも若いし、運動してそうだったから、私よりかなり前を歩いていたけど、それでもみんな止まりながら歩き続けた。



炎天下の地獄の遠足。
標高が高いせいで息が思うようにできず、声を出す気力も、ジョーが撮る写真に向かって笑う気力も失せ、「Pabloのうそつきうそつきうそつき!!!!!」と、歩きながらおぼろげにブチ切れる事しかできない。
「あと、少し、あと3つ角を曲がればつくよ」とPablo。




しかし、2つ角を曲がっても先は見えない。山しかない。
さすがに、「大丈夫?ヒサコ、がんばれ~あははは」というパブロをほぼ無視する状態までになった頃、彼も事態を察知したのだろう。
「…ヒサコ、次に車が通ったら、ヒッチハイクさせてもらおう。」

丁度、ラッキーなことに間もなく売り物のジョウロを積んだトラックが一台通過。
パブロが交渉してくれ、3人ジョウロの脇に乗せてもらった。それから次々と残りの4人もピックアップ。結局そこからトラックで15分も行ったところで、やっと教会に到着した。
「おーい、全部で一時間どころか、さっきトラックに乗ったところから1時間半はかかる距離じゃん!」と突っ込みたくなったが、とりあえず我慢。
ヒッチハイクできたので、またこれも良い冒険の思い出とすることにした。

木陰でランチの時間。うちらは持ってきたバナナとパンをかじってると、イギリス人の子達は何も食べていない。そこで、食べ物を持ってきて無いんだと知らされた。かわいそうに。。。
ということで、うちらが持ってきていたパンとクッキーと果物をわけ、みんなで少しお腹を膨らました。
そして、万能薬のコカの葉を少し…。

さて、次は、Pre-hispanic Inca Trail -- そう、今回のツアーの目玉、スペイン占領前のインカの道のトレッキング。
 
パブロは、嬉しそうに「さ、行くぞ!」と行ったものの、うちらはそれまで「もしかしたらさっきの辛いのがインカの道だったのかも」と思っていた為、これから目玉が始まるんだと聞いて、「じゃ~さっきのはなんだったんだ?!」とプチ怒り。 (それ位、喉が渇いて、頭が痛くて、腹ペコだったのさ)
まぁ、怒っていても仕方が無いので、「歩くのは30分ぐらいだよ」というパブロの言葉を半信半疑でインカの道まで行った。
ジョーによると、インカの人たちは、石細工に優れていたらしく、道を作るときは石畳にし、早く歩けるようにしたんだとか。今回行った道も、ちゃんと「歩道」らしくなっていて、すっかり感心してしまった。
そしてまた、引き続き景色が素晴らしい!今回は、歩道で土埃でなく石の上を歩いていた為、なんだか気分は楽だった。
しかし、本来の道全体を行くと4km。本来のツアーはこの4kmだけを歩くはずだったのだけど、既にヘトヘトだった私達は、20分程歩いて引き返すことにした。
ちょっと写真を撮って、歴史的な道を歩いて、今回は少し満足。本当はもうちょっと心に余裕を持って楽しみたかったけどね。

また教会に到着。今度は、「インカ時代の壁画も歩けど見に行く?」とパブロが聞いてきた。
うーん。もう私は無理。でも行きたい人もいる。
ここで暫しミーティング。
結局、「行って帰ってくるのに、多分1時間だよ」というパブロの言葉をほぼ信用せず、本当に体力があって行きたい人だけが行くことにした。6人の内、3人が教会に残り、3人が行くことになった。
私は残り組、ジョーは行く組。

やっぱり一時間たっても帰ってこなかった。
私達は、教会の前で地面に寝っ転がって昼寝をしたり、近くのユーカリの木でユーカリを採取して石でつぶして匂いを嗅いだり、のんびり過ごした。「どーせ多分2時間は帰ってこないよね」と言いながら。

そして2時間半経過。
3人がやっと到着。みんな顔は真っ赤で疲れきっている。
「どうだった?大丈夫?」と聞くと、なんと、壁画までいけなかったという衝撃のニュースを聞かされた。
結局1時間地点に行っても、パブロは「後30分」と言い続け、もし行っていたらうちらを3時間半ぐらい待たせることになる為、戻ってきたらしい。頑張ったのに。かわいそうに。
でも三人とも、もっと素晴らしい景色の所があったらしく、顔は晴れ晴れとしていた。

午後5時半。日も暮れ始め、やっとSucreに向かう事になった。
車の中では、ほぼ会話はなし。私も疲れとちょっとばかりの怒りでパブロにちょっと愛想を尽かし、あまりしゃべらなかった。
でも、素敵な夕日と光りだした満月を見るとだんだん心も落ち着いてきて、Sucreに着いた頃には、「ま、これもいい思い出だ」と思えるようになってきた。

しかし、初めてガイドを努めたとは言え、もうちょっとうちらの立場に立って考えてくれても良かったのでは…と。このまま行くと、Roxannaがこれから企画するツアーは評判が悪くなってしまう。
これは他の4人も考えていたみたいで、Roxannaに「お帰りなさい!どうだった?」と聞かれたとき、率直な感想をみんな伝えた。
Pabloは、みんなが意外と不満が多かったのをびっくりしながら聞いていた…。

うちらの話を聞くと、みるみる内にRoxannaは、「え、ほんとに?!?!」というびっくり顔になり、最後にはうちらに「ごめんね、ごめんね、こんなはずじゃなかったのに」とお詫びをし、「Pablo! なんで予定通りの道を歩かなかったの?」などと質問攻めにし始めた。

うーん。まぁ、こうやって意見を貰えるのも最初のうち。
ガイドは知識だけじゃだめなんだよ。ご飯の時間とか、歩きなれてないぶよんぶよんの観光客の歩く時間を考えるとかも必要なんだよ。
まぁ、いいやつだし、頭のいい子なので、今回の反省を次に繋げて行ってほしい。
将来に期待したい。

うちらは、結局、最後には 「無料だし、いい思い出になったよね」と、やっぱり冒険をさせてくれたPabloに感謝したのでした。

旅で心に残るのは、やっぱり大変だった時を乗り越えた時。
うちらは、そんな「後になって笑い話になる瞬間」を、どんなにその時怒っていても、苦しくても、写真に残すのを忘れないようにしている。

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